既報の通り先日「新しいMacBook」が発表された。

興味深いことに周辺機器を接続する外部ポートは下記の2つのみであり、 ポートの少なさに概ね否定的な反応があがっているようだ。

  • USB-C × 1 (USB 3.1; 充電, ビデオ出力などを兼ねる)
  • ヘッドフォンポート

ポスト MacBook Air 時代の物理ポートのリストラ

ところで、2008年に発表された MacBook Air の初期版(Early 2008)は、

  • USB 2.0 × 1
  • micro DVI × 1
  • ヘッドフォンポート
  • MagSafe 電源ポート

であって、当時のノートパソコンには標準的な有線LAN(RJ-45)、光学ドライブ、PCカードやExpressCardがないなど周辺機器との接続性に否定的な反応があった。 しかし、今日では、スタバに行けば MacBook Air でみんなドヤリングしているので、MacBook Air は成功した商品とみなして良いだろう。

それぞれのポートは、初期版(Early 2008)と現在(Early 2014)の間にどのような変化があったというと:

Ports of MacBook Air
Interface Early 2008 Early 2014
USB USB 2.0 x 1 USB 3.1 x 2
Display micro DVI Thunderbolt
Headphone jack 3.5mm headphone jack 3.5mm headphone jack
Power MagSafe (45W) MagSafe 2 (45W)

すなわち、USBが2つに増えた以外は、ほかは規格のバージョンアップである。なお、ヘッドフォンジャックは変化なしである。

一方で搭載されなかったポートとデバイスは今日以下の通りである。

  • 有線LAN: 無線LANが一般化したためほとんど搭載されなくなった。有線LANでの接続が必要な場合はUSBの有線LANアダプタを使用する。
  • 光学ドライブ: インターネットからダウンロードもしくはクラウド型サービスが主流となった為、ほとんど必要とされなくなった。光学ドライブが必要な場合はUSB接続の光学ドライブを使用する。
  • PCカードやExpressCard: 周辺機器の接続はUSB接続が一般的になった。

これらの物理ポートの「リストラ」の原因が MacBook Air の登場にあるのか、MacBook Air がなくとも時代の流れで消え行くものだったのかは議論の余地があると思われる。 ただ、結果としてこれらの物理ポートはノートパソコンの世界から今日までに「リストラ」されている。

ポスト新型 MacBook 時代の物理ポートのリストラを予想すると

MacBook Air の考察をそのまま先日発表された MacBook に当てはめてみるとする。 すなわち MacBook は初代 MacBook Air のように新環境の先導と考える。

物理ポートについて初期版(Early 2015)とこの6年後(Early 2021)の間にどのような変化が考えられるとすると:

Ports of MacBook (FORECAST)
Interface Early 2015 Early 2021(FORECAST)
USB USB-C (USB 3.1) x 1 USB (Next Generation?) x 2
Headphone jack 3.5mm headphone jack 3.5mm headphone jack

USBがふたつに増えることが予測される。ヘッドフォンジャックは変化なしと予測される。

一方で搭載されなかったポートはどうなるであろうかというのを考えた。

1. 独立した電源ポートが存在しない世界

ノートパソコンに充電を兼ねるUSBポートひとつしか搭載されない時代が仮に来るとする。 すると、ノートパソコンを充電しながら、周辺機器(スマートフォンなど)を接続することが不可能である(USBアダプタの併用が必須となる)。 これに関しては以下のようなシナリオが考えられる。

1.1. USBポートが複数個付く世界

さっそく前提を否定してしまうが、 USBポートが複数個付けば、片方のポートでノートパソコンを充電しながら、他方のポートで周辺機器(スマートフォンなど)を接続することが可能である。 よってこの問題は単なるコネクタの変更だけの問題に帰着される。

既述の予想では、このUSBポートが複数個付くものとしている。 そのため、このシナリオが最も有力と筆者は考えている。 以下の 1.2, 1.3 のシナリオの可能性は現時点では低いと筆者は考えている。

1.2. 周辺機器とのデータのやり取りはすべて無線化、充電は有線のままの世界

周辺機器とのデータのやりとりはすべて無線化するので物理的なケーブルでノートパソコンと繋ぐ必要性がないというシナリオ。 この場合、ノートパソコンを充電しながら、かつ周辺機器(スマートフォンなど)を充電するという使い方はどうするのかという話があるが、電源ケーブルまたはUSBハブから引っ張ってくるのであろう。 この状態で更に PC と周辺機器とのデータのやり取りをしたいのならば、無線でするのだろう。

Power Supply and Data connection of Scenario1.1 vs 1.2

2つの電源ケーブルを使用する例と、1つの電源ケーブルでハブ経由で分電する例が考えられる。 後者は、ACアダプタに内蔵された形があってもいいし、分離した形でもよい。 もし仮に、スマートさを若干でも求めるのならば、USBハブとACアダプターが一体化したセルフパワーUSBハブの電源供給専用バージョンのようなものが市場にいっぱい供給されそうるのでは。

(ネット)カフェ等に限られてくるだろうが電源端子ではなく、最初から一人に付き複数個のUSBポートを使えるようにすればよいが、これも後者の事例の一つである。

1.3. 周辺機器とのデータのやり取りはすべて無線化、充電も無線の世界

ノートパソコンの充電以外はすべて無線化されるというシナリオ。 周辺機器(スマートフォンなど)はQiといった無線給電の使用を想定する。

これは前項のシナリオ1.2.における周辺機器の充電インタフェースを単に無線化しただけである。

2. 独立したディスプレイ用のポートが存在しない世界

ノートパソコンにUSBポートがひとつしか搭載されない時代が仮に来て、HDMIといったディスプレイ用のポートが存在しない世界が来たとする。

筆者は、専用ドライバが不要なUSBディスプレイを知らないが、専用ドライバが不要なUSBディスプレイが普及すれば、もしくはそれが標準化されれば問題はおのずと解決されるだろうと、なんとなく思っている。

3. 有線ポートがなくなったことにより、何でもかんでも無線になった世界における問題

無線は有線と比べれば不安定である。 ドヤリングで混雑しているスタバの机間隔は1mもない場合があるが、このような環境下で店内全員がBluetoothを飛ばしまくってももまったく干渉することなく動作する必要があることが求められることになるだろう。 より無線インタフェースの干渉性に注意が払われるように技術開発が求められるのではないだろうか。

まとめ

USBポートが充電と兼用で1個なのは、後で2個に増えそうだが、他はだいたい変わらない感じじゃないだろうか。ただし、環境整備は現状まだである。

参考文献